日本は、研究者のキャリアの長さや研究論文の引用などで学術界のジェンダーギャップ(性差)が大きく、中国と韓国に比べても後れをとっていることが浮かび上がった。
日米の研究チームが1950~2020年に出版された約1億本の論文データを解析した。
研究チームの米ニューヨーク州立大バファロー校の増田直紀教授(ネットワーク科学)は「日本の学術界のジェンダーギャップを改善するには、研究職を長く続けられるようにすることが重要。子育てで女性が研究を中断しなくてすむような取り組みや、大学で女性教員を増やすなど、様々な試みをさらに進めてほしい」と指摘している。
同校や神戸大、東京工業大、京都大でつくる研究チームは、論文の著者名から性別を高い精度(90%以上)で推定する方法を開発。日本と韓国、中国、「その他(主に欧米)」で、研究者のキャリアと論文の引用・被引用回数などについて性差がないかを調べた。
その結果、いずれの国でも研究者数は男性が女性より多いが、男女比の不均衡は日中韓が欧米などより大きかった。
個々の研究者がキャリアを通じて発表した論文数をみると、日本では女性が男性より42・6%少なかった。中国は9・3%、韓国は20・2%、その他は31・2%少なく、日本の性差が最も大きく出た。
女性の方が研究職としてのキャリア年数が短い(日本では男性より39・6%短い)ことが原因の一つと推測されるほか、研究論文の共同著者となっている場合が少ないことも背景にあるとみられる。年平均でみると、発表論文数はいずれの国でも性差はほとんど見られなかった。
論文が引用された回数の指標をみると、日本では女性が男性より19・9%低かったが、中国と韓国では逆に女性の方が高かった。
さらに詳しく分析すると、男…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル